Artist's commentary
聖夜の戦い
人間の里に襲撃したミスティア。劣勢であった。しかしミスティアは退かなかった。自分がここで退いたら、あの者たちはどうなるのだ?…ある者がミスティアへ言った。「馬鹿野郎!!お前だってボロボロじゃねぇか!!もういい!俺達がここで死ねばいいだけの話だ!!もうすぐ博麗の巫女が来る!!俺達じゃ時間稼ぎも出来ねぇ!本当に退治されちまう前に逃げろ!!」ミスティアは言い返した「あんたたちはただ死ぬために生まれてきたのか!?諦めちゃダメ!!早く!森に逃げれば勝算はある!!」しかし複数の者は動かなかった「……悪ぃな。内蔵がやられたらしい。もう……動けねえんだ。あらかたのヤツは逃げた。もう十分だ。行け。」ミスティアは悲痛な表情で振り返った。確かに、数名は腹部や首から血が滴っている。致命傷であった。「……ごめん!あたしが……弱いばっかりに……!!」「いいんだお嬢さん。そうやって死ぬだけだった俺たちに光をくれたのはアンタだ。それが俺達は嬉しいのさ。……さぁ、もう行きな。近くで慧音先生の声がしてる。タイムアップってやつだ。」「あたしは…あたしは…!」「馬鹿野郎!よそ見してんじゃねぇ!!!」「…えっ」振り向いたとき、目の前に弾幕の雨があった。とても避けられるものではない。着弾までの一瞬が、とても長く感じられる。目の前に黒い影が現れた。その黒い影はミスティアに当たるはずだった弾幕を一身に受け、醜く跳ねた。数瞬後、ボロ雑巾のような肉塊がそこにあった。ミスティアは一瞬呆然としたが、声が聞こえた。「行け!!!」ミスティアは弾かれるように後ろを振り向き飛び去った。それは敗北という名の撤退であった。ミスティアが森に消えた後、息も絶え絶えの者たちが残された。少し経って赤い影が現れる。博麗の巫女であった。「どうやらもう逃げた後のようね。全くこの時期だってのに人里に来て暴れるとはなんとも面倒な……。」博麗の巫女を連れてきた青い影が喋る。慧音だ。「なんでも、あいつらを食おうとしたのが気に食わなかったらしい。」慧音は動けず残った者たちを指して言った。そこには既に絶命した、七面鳥が倒れていた。12月24日、焼鳥撲滅を掲げた彼女の聖戦は、終わった。