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Artist's commentary
黒い服のサンタなどいない
「メリークリスマース!」という威勢のいい挨拶は、寂々とした図書館にむなしく響いた。これだから陰気な奴は……などと辟易していると、季節のイベントなど知るよしもない(あるいは知らんぷりをしている)パチュリーが、のっそりと現れた。「……袋を置いていきなさい」「プレゼントの独り占めか? 見かけによらずがめついな、お前」「……サンタクロースというのは、家々を回って金品を盗む聖人ではないわよ」「私は聖人じゃないからな、家々を回ることしか真似できないんだ」そう答えつつ、私は袋を下ろした。「――でも、借りたものを返すことは出来るんだぜ?」にっこり笑ってみせる。意表を突くサプライズプレゼントのつもりだった――のだが。「待て待て待て、なんでそうなるんだ!?」なぜか臨戦態勢を取ったパチュリーは、怒っているのか照れているのか悔しがっているのか恥ずかしがっているのか、なんだかよく判らない複雑な表情を浮かべると、らしくない子供っぽい口調で言った。「――~~知らないっ!」