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Artist's commentary
白穂先九尾皇女
オリジナル妖怪モノシリーズ【怪異譚】より(室町期)のキーキャラクター。
■登場人物紹介 【白穂先九尾皇女】(シラホセノココノビノスメラメ):遥か昔、ヒトが稲穂や麦を初めとする大地の恵みに
『価値』と『欲』を見出した時に発生した、旧き化生のうちの一柱。
人智を超えたと言うのも憚られる程の妖気を有し、その通力を以て天候をも自在に操る。
数多の氏族が彼女の気紛れで栄華の限りを尽くし、それと同数かそれ以上の者達がその気紛れで滅亡していった。
崇めるものには豊穣と繁栄を、それ以外には飢饉と旱魃を共に惜しみなく、容赦なく与え
一方からは最上位の神格を持つ狐神として、畏怖と敬意を以て迎えられ。
また一方からは最大最悪の妖狐として、憎悪と恐怖を以て語られ続けた結果、
その姿は、『神狐を示す白の体毛』と『悪狐の象徴たる金毛九尾』を併せ持つ特異なものとなったと言う。
■後世──江戸時代に創りだされた『玉藻前』の伝説は
全国複数の妖狐伝承を抜粋し、架空にして理想の『白面金毛九尾の狐』像を築き上げているが
室町後期を最後にその噺がぴたと止んだ【白穂先九尾皇女】の伝承も、僅かながらその着色に一役買っていると言えるだろう。
■一説には大太刀を担いだ武芸者によってその尾を断ち切られ、神狐と妖狐に分かたれたとも、
神妖の狭間をたゆたう己が矛盾に苛まされた結果、自ら尾を断ったとも云われている。
しかしながら、書物として記録に残されていない点
口伝や昔話としてその真実が捻じ曲げられている点を考慮すると、この説も甚だ眉唾モノであると思われる。