Resized to 88% of original (view original)
Artist's commentary
雨の日の午後の紫陽花
この雨ではバイクで外に遊びに行くことも適いません。
つまらなさそうに私に言われたままに宿題と対峙する兄がなんだか不憫に思えてきて、
せめてもの気分転換になればと紫陽花の着物を着て、何気無くお茶を出す振りをしながら兄の様子を見に行きました。
私の着物がいつもと違っていることに気がついた兄はキョトンとしながら「お前どっかでかけるの?」と訊いてきました。
私は「いえ、鈴花さんに頂いたお着物に一度袖を通してみたかっただけです」と適当な言い訳をしながら、
私に向けてチラチラと送られる兄の視線をくすぐったくも胸高鳴る気持ちで感じながら、必死に気がつかない振りをするのです。
そんな6月の雨の日の午後の一時。