Artist's commentary
残暑お見舞い申し上げます。
片桐早苗さんと海に行ったので皆様にもお披露目したいと思います。
行ったんです。確かに行きました。
レンタカーを借りてお互い久々に運転する車に四苦八苦しながら
家族が過ごすような砂浜からは少し離れて
藪を降りていくとある砂利と磯だらけの
誰もいない海辺に二人でいたんです。
「悪いわね~」と、帰りの運転もあるんで僕だけは飲まずに
一人でクーラーボックスに詰め込んだビールをあけ
サラミとピーナッツで口をパンパンにしたまま
早苗さんは小さい七輪に炭を起こし
二人で簡単な焼肉をしました。
「この間見てからどうしてもこれがやりたくて…」と焼鳥串の中からつくねをチョイスし
ビールと一緒に冷やしていたピーマンを乱暴に割り、乗せて寿司のような仕草で口に運んでいました。
パキパキモキュモキュと噛み締め、ビールで流し込んで嬉しそうにこっちを見ていました。
すでに昼過ぎになり日差しが最高潮に向かっていく頃
パラソルの下でお互いにオイルを塗っていました。
焼く方のオイルでいいの?と聞くと
「だってもう日焼けしようが関係ないじゃん。楽しみたい」
と無邪気を装いながら、少し寂しそうに言っていました。
僕は泳げないので、早苗さんに気にかけてもらいながら
磯近くの海中を散歩していました。
時たま海底を覗き
「あ、ほら◯◯君!小さいカニだらけよ!捕まえて!ツマミにするわよ!」
と叫び、背中に飛び乗って無理やり沈めようとしてきました。
水中で冷えた肌が密着することにより表面温度を取り戻し
今首に当たっているのが谷間なんだな、と
いつも触っているものなのになぜかひどくドキドキしました。
水で濡れた髪が水滴を弾き、二人でこの時を過ごしているという嬉しさで
お互い爆発したようにハシャいで遊んでいました。
夕暮れ、地元では無いので暗くなる前にホテルに戻ろうと片付けをしていると
「焼けた」
と短く、なおかつ吸引力のある言葉で呼んできました。
水着をずらした早苗さんの肌は赤く焼けており
元のピンクがかった白い跡が手ぐすねを引いてこちらを誘っています。
これは明日、肌がめくれるかもしれないねと言うと
「大丈夫♫まだ2日も泊まれるし、帰ったら部屋で◯◯君がケアしてくれるからね」
と意地悪な顔をしていました。
帰ったらこの体を好きなだけ見られる。
ベッドの上とはまた違う、外で見る早苗さんの体は
たしかにこちらに夜への期待を高めてしまい
年上の彼女に全て見透かされていたのです。
安めのシティホテルなので夕食は無し。
シャワーを浴びてから外の居酒屋へ。
今度はこちらも、と一緒にお酒を飲み
適当な夜食と飲み物を買って冷蔵庫に入れていると
「あーあ、やっぱり肌がヒリヒリするわね……ねえ◯◯君」
と部屋の暗がりからバスタオルを巻いた早苗さんがこちらに歩み寄り
「化粧水…塗ってくれない?」
ストン、と白い布が落ち、少し汗ばんだ彼女の体が目一杯に広がっていたのです。
これが証拠です。片桐早苗さんが身につけていた水着です。
ほら、ちゃんと塩の粉が噴いているでしょう。海に浸かっていた証拠です。
え、家で塩水でも作れる?今そんな話してましたか?ええ!?