Artist's commentary
聖なる一歩半に影響を受けたハヤヒデトレ
まだ少し冷たそうな指を組んで君は笑う。
駅から吹雪くイルミネーションの通りを、
人をかき分け足早に来たカフェの中、
はにかみながらライトで芦毛を光らせて。
机上のラッピングのリボンが二本、暖房の風に揺れている。
その温かい風に君の新しいヘアオイルの匂いが乗って、冷えた体を暖める。
「迎えはまだかかるそうだよ」
目を細め、しっぽを揺らしながら君は言う。
頷き返すと、下を向いて
白い箱の縁を指でなぞる。
まだ手を付けていない
コーヒーのカップから上る湯気が
メガネを曇らせないよう、
少し距離を測りながら。
聖夜の吹雪をよそに君は笑う。
冷たい手をリボンに添えて。
テーブル越しに熱を感じながら
優しげに。