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Artist's commentary
【PFMOH】帳を払う/挿絵【天頂】
pixivファンタジアMOH
最終章 「天の頂」エンディング【pixiv #89086587 »】
小説誘導兼挿絵用イラストです。
本文→【novel/16072293】
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「やっと、出来た」
ぽつりと呟いた女の視線の先には、硝子のように透明に煌めく花がいくつも咲いていた。一説には幻の天上花とも伝えられる鏡うつしの百合ミラーリリー。『魔女』の力を他人に移すことができる効力も、彼女が創り出したものであることも、この光景を見ている者達にはその花が目に映った途端に理解することができた。
「これでわたしは、ひとりぼっちではなくなるわ」
女が透明な花を一輪手折ると、その花は夜色ではなく……目の覚めるような青色に染まった。
もう一輪手にすれば、今度は淡い光を称えた白色に。
さらに一輪を持てば、燃えるような紅色に。
様々な色で調合された染料が、紙の上に落ちて広げる色を変えるように。夜の帳(とばり)に秘めた色彩を一つずつ、百合の中に流し込んでいった。