Artist's commentary
夢を捧げるは愛娘
『壊してから泣く癖だけは改めるように。ハンカチを用意するこちらの身にもなってください。
全く……なぜお前はそうなのだ、バーヴァン・シー ……』
呆れた声で愛娘の涙を拭う姿に、かつての恐ろしき女王の影はない。
彼女の描いた物語は、こうして大団円をむかえたのだから。
アヴァロン・ル・フェ?
もうひとりの自分?
知ったことか。
ブリテンを捧ぐと決めた者は、後にも先にもただひとり。
『たった一度。たった一度でいいのだ。おまえが幸福である生き方ができるのなら———
私はその為に、私の夢を捧げても、良い』
かくして、冬の玉座は継承された。
玉座に身を預けるは真なる後継者。
例え誰に認められずとも、
例えその資格がなくとも、
与えられし祝福はEXなのです。
……………………
むにぬれんの6章でのお気に入り?
もちろんこのお2人です!
他の妖精の方々はなんだかんだ自己満足して死んでいけたのに、この2人は最後まで救いがありませんでしたね……
バケ子ちゃんもそうだけど、アヴァロンルフェピックアップ1って、被害者の会ピックアップだったんだ。
トリ子ちゃんは最後にオーロラあたりをチョンパするのかと思ってたけど、普通に死んでしまっていたのがとても悲しい。しかも人質にされたことがカルデアの誰にも伝わっていない&知ろうともしないあたり、本当に無常だなぁと思う。
所詮は敵同士だった。
だから藤丸やみんながモルガンやバーヴァン・シーにかける感情なんてその程度もので、神の視点を持っている私たち同様に複雑な気持ちになることなんてない。
戴冠式前日の宴会で楽しそうに盃を酌み交わす彼ら主人公を見ているとき、私はそう思いました。
悲し過ぎる。
物語自体は覚醒したアルトリアキャスターやわかりきっていた黒幕との決戦でいい感じに終わり、私たちは何もかもひっくるめて前に進むんだ! って終わりましたが、本当に作者が言いたかったことは、このどうしようもない非情さにあると思います。
モルガンやバーヴァン・シーがあまりにあっさり死んじゃったのもオーロラやナカムラと対決したり深く言及しなかったのも、彼らカルデアが無意識にもその程度しか思い入れがなかった。酷い言い方をすれば、他のことが大事だから構ってられない。
だから、そこまで出番を割く必要がない。
一方で仲良くなれたバゲ子には時間を割いてでも介錯をしてあげる。
ノクレアが死んじゃった時は専用の一枚絵もあって、心から悲しいと思える。
藤丸たちがあの根暗で誰も信用しなかったアルトリアキャスターと分かり合えたのも、彼女が味方の側で話す時間が多かった。
味方だからこそ彼女の行いに一番感激出来るし、村正が命を散らした場面に号泣する。逆に知らない人たちの苦悩は知る時間が惜しいし、話してくれないから分からない。
感動も同情も、相手を知れてからこそ。
アルトリアキャスターのように使命が一致した運命的な仲間だったからこそ、分かり合えた人もいる。
キリシュタリアのようにぶつかって分かり合えた人もいれば、ベリルやオ○ロンのようにぶつかっても分かり合えない人もいる。
モルガンやオーロラのようにぶつかることすらなくすれ違ってしまった人もいる。
二部のテーマである、多くの未来に打ち勝つ物語。その在り方が重要な使命である一方で、どれだけ残酷さを含んでいるものなのか、改めて考えさせられる素晴らしい章でした!
悍ましや、汎人類史……
FGOはどんな感じで終わるのでしょうか?
正義の味方の父親みたく、痛い代償を払うことになりそうで戦々恐々としております……
次の章が楽しみですね!