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Artist's commentary
「……借りたぞ、アンタのシャツ」
ナリタブライアンがトレーナー室のシャワーを使うようになってからどれほど経っただろうか。
トレセン学園には練習場に併設されたウマ娘用のシャワー室があるのだが「使用中に他の生徒に話しかけられるから面倒だ」という理由で彼女はそこの利用を好まない。
実際彼女はその性格やルックス、スター性の賜物か生徒の中にも相当数のファンがいる。シャワー室での(彼女曰く)煩わしい光景は容易に想像できた。
しかしだからといってトレーナー室のシャワーを使わせるのはどうなのかと言われると返す言葉も無いが彼女は一度決めたら頑固、抗う術は非常に乏しい。特にこの件に関しては彼女の圧が猛烈で首を縦に振る以外のことが出来なかったのである。
実際のところシャワー後の彼女の姿というのは余りにも艶めかしく、年頃の男にとっては非常に目の毒だ。その為彼女がシャワーから上がってくる時には前もって心の準備をする必要があった。
シャワーの水が止まりドライヤーの音が響く。彼女ほどの長髪なら数十分はかかりそうなものだが彼女のドライヤーはものの数分で終わる。髪を乾かすのを面倒がってパパッと終わらせているのだ。その半端に乾いた髪を拭いてやるのもいつもの流れである。彼女の姉が聞いたら憤怒するだろうな。
ともかくこれから黒船なみの衝撃が来航することに覚悟を決めシャワー室のドアが開くのを待った。
しかし、その日俺のもとに来航したのはペリーを乗せた黒船などではなかった。
「……借りたぞ、アンタのシャツ」
波動砲を放ちながら激進してくる宇宙戦艦ヤマトだったのである。