戦火の中、間もなく死に至る我が子の身体に、母である彼女は残酷で猟奇的な…しかし深い愛を注いだ。　戦いで翼を奪われた巨竜、打ち捨てられた魔法兵器、そしてそれらと我が子を繋ぐ為の媒介…異能の魔女たる彼女自身の屍肉を用いて。　その姿を見た者たちは、彼を恐れ忌み嫌うだろう…しかし魔女は躊躇しなかった、それがただの独善だとしても我が子に未来を与えたかった。　　　数年後…異形の少年は戦いに身を投じていた、自らに注がれた愛を以て戦火に焼かれる人々を救う為に。　戦争が終わった時、彼…『屍竜童子』には何も残らない…英雄として迎えられる事はおろか、友人と呼べる者さえ居ないだろう。　しかし、そこには紛れも無い母の愛がある、ひどく醜悪で独善に満ち満ちた異形の愛が。