Artist's commentary
クララのバカ!
クララが立った次の日、ハイジは落ち着かずソワソワとしていた。「 なんて素敵なんだろう…まだまだ歩く練習も必要だろうけど、クララと楽しく野山を駆け回る日もそう遠くないんだわ…! 」…ちょうどその時、山の向こうからクララが現れた。でもなんだか様子がおかしい…いつもの車椅子ではなく、フワフワと宙に浮いた奇妙な乗り物に乗っている…それを見たハイジは今まで一度も抱いた事のないような不快感を覚えた。「吐き気を催す邪悪」…その感情をあえて一言で言い表すとするならば、それだった。クララはハイジを見て微笑んだ…一見穏やかなようでいて、とても冷たい微笑で…そしてハイジは瞬時に悟った。大切な何かが粉々に打ち砕かれた事を。「 クララのバカ!いくじなし! 」ハイジは全速力でマッターホルンの頂へと駆け上がって行った。