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Artist's commentary
隣人の男の子
いつも人の家に突然入ってきて、薄着の癖に寒いと言いながら人のパーカーを勝手に着る男の子。
少年はまんざらでもなかった。むしろ望んでいた事でもある。
鏡の前に立ち、彼の好みの衣装や髪型、香水に身を包んでは想いにふけるのが少年の日課であった。
毎日かかさず彼の家へ赴き彼のパーカーを着るのも、少年なりのささやかなアピールではあったが、この秘めた気持ちを悟られるわけにはいかない。
そっけない素振りや辛辣な言葉を浴びせかけるのも、少年なりのカモフラージュである。
もし拒絶されてしまったら……そんな恐怖が少年の心を日々苛んでいた。
この日、この時までは……。