Artist's commentary
風化しない記憶④
この時期になると夢に見てしまうくらい鮮明に憶えている事件が脳を支配する…。あれは忘れもしない中学進学を控えていた小学生最後の冬休み。うちの近所には、いつの日か話をした公園から続く道の先に神社が存在する。規模は小さいものの神社に必要なものでないものはない。地元の住民を対象にしたありふれた神社という訳だ。特徴は、短い参道とは対照的に108段ある階段と僕の大好き『だった』巫女のお姉さん。巫女装束ながらローファーにハイソックスというスタイルの学生アルバイト。僕は境内で遊んでは怪我をしていた…。それは腕白だったからではなく、いや、ある意味で腕白だったのだろうか、治療の為に巫女姉に社務所へ連れて行ってもらいホットココアを御馳走になるのが好きだったからだ。もちろん怪我など毎回大した事はない…悪ガキだ。正月も10日を過ぎると人の姿も疎らになる…が、社務所に出入りする人影はそこそこあるようだった。ある日の夕方、僕は本気で怪我をする。巫女姉は外で人と話をしていて忙しそうだったので勝手に上がらせてもらう事にした。この時間になると社務所は静まり返っていて管理も巫女姉一人に任されているようだった。休憩室を抜けた先にある居間で横になっていた僕は転寝をしてしまっていたのだが、巫女姉と複数人の男の声によりぼんやり目を覚ます。どうやら休憩室にいるらしい…!?…扉の向こうは今まで感じた事のない空気を漂わせている…僕は忍足で休憩室に近付き、そして覗いてしまったのだ!そ、そこには…巫女姉のお、お尻を…数人の男、爺さんもいるのか…何だ、何をしてるのか…。駄目だ!僕には刺激が強すぎる…何より巫女姉が率先して嬉しそうに触らせていたのが嫌だった!巫女姉のあんな顔、あんな声は…夢だと思いたかった!逃げ出すように社務所を後にする僕の体が本能的に何か熱いものを感じているのも嫌だった。…同時に巫女姉との思い出のカレンダーもここで終わった。この状況を理解するのに数年の時を要する事になる。あれは大好き『だった』巫女姉のもう一つのアルバイト…思い出したくもないが巫女を見ると思い出してしまう。…と言う妄想(笑)長文失礼しました。※クリックすると大きくなります。本年も宜しくお願い致します。