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開戦前夜
バレンタイン…古くは聖ヴァレンティヌスの殉教に端を発し、現代日本においては菓子メーカーの陰謀により歪みに歪められ販促活動の場と化した催しである。ある男はまだ見ぬ甘味に胸を躍らせ、又ある男は「イケメン殺すべし」と殺気立つ地獄を顕現させる。この鎮守府ただ一人の男に関しては後者であるが、どうやら今年は経路の違う結果になりそうな。
そんな彼のことなどつゆ知らず、二人の乙女がこれまた後に地獄を繰り広げることになるとは欠片も想像せずに翌日に向けて準備を行っていた。
「ラッピングはこれで良しと。あとは明日兄様にお渡しするだけです」
弾むような声音で実兄へのただならぬ想いを一人口にするのは秘書官を務める榛名である。
「味は良し、ちゃんと甘いですね。隠し味もしょっぱさは感じないから多分大丈夫…兄様、喜んでくださるかしら…」
何やら妙な単語が口走った気がするが、気にしないでおくこととしよう。
一方その頃別の場所では…
「フフフ…あの女は知らないだろうが、私とてこの10年間をただ安穏と過ごしてきたわけではない。日本の現代文化を密かに研究し、兄さんの甘味の趣味嗜好をひたすらに調べ尽くし、この日のために兄さんの好みのショコラーデの味を探求してきたのだ。そして再開したばかりのあの女は知るまいが、兄さんは甘いショコラーデが苦手なのだ…フフフ。いろいろと先は越されたが、今度ばかりは私が天に立つ」
何やら怪しげな雰囲気を出しながらチョコレートの味見をしているのは最近鎮守府へとドイツからやってきたグラーフ・ツェッペリンである。(細かい設定に関しては次の機会にまとめて明かします)
「さて、味は完璧…あとはこの隠し味を入れれば…フフフ、明日が楽しみだ」
ひとしきり味を確認した彼女は胸元から何やら怪しげな小瓶を取り出して不敵に笑う。
ていうか君たちチョコに変なもの入れるなよ。
そして翌日「やったぜ!!今年ばかりは俺の勝ちだぜ黒ひー!!」と叫ぶ提督の姿があったそうな。