Artist's commentary
ラミア
「兄貴!アニキー!すげえいい事思いつきましたぜ!ラミアの子供をアクセサリー感覚のペットとして売りだすんスよ! こう、腕にぐるぐるーっと巻きつけて。ちょっとオシャレな、そんでカワイイっつーか。
きっと大流行ですぜ!? え?子攫りのラミアの子供をかっ攫っちゃ本末転倒? いや、オレ学ねーから難しい事よく判んないですけど・・・そう!そんで喋る時には語尾に『○○ヘビ〜』って言うように調教するんスよ! あ、痛い!ぶたないでアニキ!痛い痛い!」
・・・それから20年後、渡世人(冒険者)小白水又次郎は王都ナガタチョーの路地で今際の際にあった。
対立パーティーの放った刺客がその凶刃を彼の腹に深々と食い込ませた直後だった。騒然とする周囲とは対照的に彼の意識は不思議と澄み渡り、過去の記憶も鮮明に蘇っていた。
おっちょこちょいでお調子者な舎弟のヤス。あいつは今この空の下どんな暮らしをしているだろう・・・。
路上で仰向けに倒れながら眺める星空にふとそんな事を思った。この季節にしては珍しく星のよく見える晩だった。
ラミアの子供をペットとして売り出す、か。
何故か笑みが浮かんだ。
ヤスにしては珍しく良い思い付きの部類だ。商売に発展させればかなりの儲けになったろう。
だが。
「ヤス・・・、その場合、語尾は『○○ニョロ〜』だろ・・・」