Artist's commentary
牛乳を飲む鈴谷
「んぐっ…んぐっ…がぼっ!!」
構わず口内へと棄てられる白い液体に女は苦しそうに咽返る。まだたっぷりとその液体の入った容器を片手に、目の前の男はこの状況を愉しむかの様に
にたり
と笑いながら。
「おいおい、ミルクひとつ飲むだけでこの有様とは。これじゃあ身分と名前が泣くぞ?」
「げほげほっ……えほっ、うぅ…ぐすっ…」
清純で端正な女の面影は今や見る影もない。充血して真っ赤になった眼からは涙が溢れ、鼻や口から流れる
体液と白い液体にさらに混じって綺麗な赤みがかった肌に侵す。
「誰が泣いていいって言った? ん?」
女の意識は半分は飛びかけている。恐らく殆ど聞こえていないだろう。
だが男は手を止めない。これでもかと白い液体を顔面に浴びせ続ける。容器の液体が空になりかけ、男は白い液体の 補充をしようと机に手を伸ばしたとき、どこからともなくブザーの音が鳴り響いた。
はっとすると、さっきまで朦朧としていたはずの女がこちらを見ている。
視線の先は、さきほどまで白い液体を浴びせていた男ではない。
見えないはずであろうガラス越しのこちら側を見て。
「もう時間じゃん……今日はこれまで」
彼女はそう呟くと、可愛らしい仕草ではにかむ。先程では考えられない状況にしばし唖然としていると、
あの娘は既に部屋を出てしまっていた。
「もっと課金をしなきゃ……」