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Artist's commentary
母なる港
旭日に向かい海原を行く小さな背に武運を祈る。
少女達が戦場に赴く度、そんな事しかしてやれない己の力の無さを歯噛みしながら。
いや。彼女達を死地に向かわせている本人に、憂う資格などないのだろう。
それでも、祈らずにはいられなかった。
繋いだ手は柔らかで。触れた手は暖かで。重ねた肌は、どうしようもなく愛しくて。
戦う道具だなどと、兵器だなどと。誰もが割り切れる訳ではないのだから。
戦火に晒され傷つく少女達。胸に抱く度に感じる、この身を引き裂かんとする痛み。
彼女達と共に戦うと決めた。彼女達と共に生きると誓った。
しかし、それでも私には彼女達の背中を見送る事しか出来ないから。
ならばせめて、私は彼女達の「母港」でありたい。
上官としてではなく、軍人としてでもなく。帰る場所であり続けたい。そう、願う。
それが僅かでも救いになるのだと信じて。
だから只、祈るのだ。勝利ではなく、彼女達の無事を。
どうか大事がありませんように。どうか誰一人欠ける事無く帰ってきますように。
そして願わくば。いつか、いつかこの長い戦いが終わりを迎えた時。
彼女達に幸せな未来が訪れますように、と。
暁の水平線に向かって―――――
※三枚目はちょっとやってみたかっただけですので他意はありません