Artist's commentary
「獅子原先輩」
「なに?ユキ」 「お手洗いに行きませんか?」 「んー、私はいいや」 「では参りましょう」 「いやいいって。別に用ないし」 「行きましょうよ」 「何でだよー?ユキは一人でお花摘みも出来ないのか?」 「そうではなくて。先輩は揺杏先輩がレストルームでどんなコンセントレーションをするのか気になりませんか?」 「え?いや、別に気にはならないかなー。どうせふんばるだけだろ?」 「私だって人が気張ってるところを覗く趣味はありませんよ、獅子原先輩のは別として。けれど、もしそうじゃなかったらどうするんですか?」 「どうするって、何がよ?」 「私は獅子原先輩のお花摘みは非常に気になって夜も眠れませんし、先輩がお手洗いに立つ時はいつも脳内で色々な試行錯誤を繰り広げています。ですが今はとりあえず時間が押しているので揺杏先輩の話を進めますが、よろしいですか?」 「スルーしたのにいちいち……てゆうか全力で気にすんな。いいからさっさと話進めろよ」 「では先輩のお花摘みの件については後日改めてお伺い申し上げます。団体戦が終われば少し時間も出来るでしょうし、洒落た喫茶店で柔らかな午後の日差しをガラス越しに浴びながら優雅にティーカップを傾けつつ詳細を述べていただきたく存じ上げます。録音しますしマイクもお貸ししますよ」 「いいから早く進めろっつってんだろ!」 「約束ですからね?ええと、ですから揺杏先輩が気張る以外の別の方法でコンセントレーションしていたらどうするんですか?」 「メイクアップとか?別にどうもしないって。てか約束とかしてないし……」 「ピンポンのドラゴン主将みたいな感じだったらどう責任取るんですか?」 「知らないよ。別に実害ないしいいじゃん。何でそんなこと気にしてんのユキ」 「実害はあります。お手洗いが混んでたらどう責任取ってくれるんですか。獅子原先輩が一生かけて私に身を呈すというのなら特別に許してあげてもよろしいですよ」 「呈さないし知らないよ!つーか何でユキに許されなきゃいけないんだよ」 「先輩が私のものだからですが?とにかく女子がお手洗いで気合を入れるという発言が珍しかったので興味が湧いたんです」 「そっかそっか。私は興味ないからユキ一人で行って来てねー」 「それは嫌です」 「何でだよ」 「先輩と一緒がいいです」 「何で?」 「先輩と二人で覗きに行けば揺杏先輩にバレても先輩に責任転嫁できるじゃないですか」 「なるほど、確かにそうだね。私とユキなら私の方がそういうデバガメみたいなことしそうだし、揺杏が信じるっていったら間違いなくユキだろうね!」 「そうでしょう?それでは、一刻の猶予もございませんので馳せ参じるといたしましょう」 「行かないよ!」 「何故ですか?先輩も納得しましたよね?」 「客観的にはしたけど私個人としては納得してないからな」 「怖いんですか?」 「へ?」 「覗きがバレて揺杏先輩とこれまで培ってきたアレコレがこじれてしまうのが怖いんですか?」 「いや、別にそんなんで仲違いなんてしないだろー?」 「そうですか?どんなコンセントレーションしているのかにもよるかと思いますが」 「そだね」 「確かめに行きましょう」 「行かないよ!そんなに気になるならバレないようにそっと覗きに行けよ、一人で。ってかユキならバレても淡々と誤魔化せそうだけど」 「そういえばそうでしたね」 「だろ?」 「それでは少し席外しますね」 「おー。……やっと行くのか。最初から一人で行けっての。てか明らかにもう揺杏気合入れ終わっ……出し終わってるだろ。ぶっちゃけ中堅戦始まってるし、中継で打ってるし、こいつには画面内の揺杏が見えないんか?どの揺杏のふんばりが見たいんだよこいつ」 「ところで先輩」 「えっ、なに?」 「一緒にお手洗い行きませんか?」 「……はぁ???お前一人で行くって言ったじゃんか今」 「覗きは一人で実行します。ですが先輩も付いて来てくれませんか」 「何のこっちゃ」 「中堅戦が終了したら残すは私たち二人の試合じゃないですか」 「そうだね。だから何なのよ?」 「ということは次は私たち二人がコンセントレーションする番ですよね」 「うん」 「だから二人で一緒にコンセントレーションしませんか?」 「何でよ?」 「別々にコンセントレーションするより二人まとめてした方が効率が良いからです」 「そうかぁ???」 「だから早くウォータークローゼットに行きましょう」 「何でトイレで気合入れなきゃいけないんだよ」 「ダメですか?」 「ダメっていうか……、別にトイレじゃなくてもいいだろ」 「確かにそうですが。今回は気分的に先輩とレストルームの個室でコンセントレーションしたいんですよ。二人だけで」 「はぁ?」 「ぶっちゃけると揺杏先輩のコンセントレーションはどうでもいいんです。それ以前にもう中堅戦始まってますし」 「知ってたのかよ」 「そんなことより私はレストルームの個室で先輩と二人きりになって先輩をめちゃくちゃに犯s」 「そこまで!」 「……そうですか?」 「何がそうですか?だよ。お前困ったらそうですか?とか言うのやめr」 「先輩をめちゃくちゃに犯したいんですよ」