Artist's commentary
蛮行の終焉
巨大スクリーンの前に吊るされた私は下半身にパフォーマーの男を絡ませ絶頂を迎えていた。何度も頭の中に閃光が走り全身が痙攣する。大勢の視線を浴びながらこんな滑稽な格好で達するなんて…。羞恥に顔を紅潮させながら涙を零す私を見て観客から常軌を逸した歓声が上がる。まさに狂喜の宴だった。再び硬くなった男が腰を揺する。私は達した直後の敏感になった中を掻き回され情けない声を漏らした。「そこまでだ!」 霞む視界の端に見慣れた制服を見た。…………私は自分の身に何かあった時を想定して1つ苦肉の策を用意していた。組織の存在を証明する材料がない以上警察に捜査を依頼しても動いてはくれない。だが私自身が犯罪を犯せば警察は私を捜査せざるを得ない。私が3日戻らなければ何ヶ所かの警察署やマスコミに対してテロ組織のメンバーを装った脅迫文が届く手筈になっていたのだ。無論、単純な悪戯だと思われないために技巧を凝らした。例え組織の人間が警察内部に居ても組織に関係のない案件であれば工作をする理由もなく組織以外の人間も捜査に当たることになると予想していた。私は賭けたのだ。警察の良識と捜査力に。必ず私まで辿り着くと…。…………ブラインドの隙間から西日が差し込む。大捕物から検査入院を経た半月後、私と友人は警察署で事情聴取を受けていた。正面に女性警察官が座っている。私が発見された状況を鑑みての配慮だろう。彼女の言動から推察すると脅迫文は結局悪質な悪戯として処理されたようだった。なかなか出来が良かったと思っていただけに少々拍子抜けだ。どうやら優秀な捜査官が居たらしく、私の意図を読んだ上で脅迫文を捜査する口実に利用したのだ。そんな人物が居れば芋づる式に組織の人間を摘発し壊滅に追い込んでくれるかもしれない。そっとお腹に手を当てる。凌辱の果てに芽吹いた命。この子が生まれる頃にはこの町ももう少し綺麗になっているだろうか。そんな事を考えながら私はそれほど悲観的になっていない自分に対して心の中で苦笑いした。pixiv #37664040 »
の続き。