Artist's commentary
プロト・キュベレイ&ザクⅢ
「Ring of GUNDAM」&「Gundam GQuuuuuuX」クロスオーバー・オリジナルストーリーに登場。
サイド3ダークコロニーに封印されていたMS。ムサイ発展型一番艦「エンドラ」から発進してサイド3の隠しドックから1バンチに侵入した。どちらも火星とアステロイドベルトにて開発されたMS。この辺りの詳細は追って紹介。プロト・キュベレイの後継機はすでに某所にて待機中。
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(「GOUF FLIGHT TYPE」からの続き)
リック・ディアスのコクピット内でルロイ・ギリアム伍長はリムジンに向けてセンサーを照射して内部を探る。確かにアルテイシアらしき人影が後部座席で横たわっているのを確認できた。ただ、アルテイシアを避けて助手席及び運転席のみを射撃することは容易ではない。ディアスのバルカンはハマーンにとっては脅し以下の何物でもないことは明らかだった。
シャリアも屋上の影からリムジンを探るも、当のハマーンにとってはそれもすでに察知していることであろう。ハマーンがシャアとシャリアを超えるNT能力の持ち主と言われて3年。1年前に階級を飛び越えエグザベと同じ中尉になったほどジオン軍では将来を有望視されて現在に至っている。おそらくもう半年もすれば佐官へと上がっているだろう。テサリア第2部隊の小隊長となってからは部隊を超えてNTのまとめ役として頭角を表し、その分エグザベが遊撃班としてシャリアやコモリらと国外監視に飛び回ることが可能となっていた。そして現在、ハマーンは厳戒態勢下にあっては、ランバ・ラルの下で率先して警戒網の一端を担っていた。シャリアは、その才能を評価しつつも、やや先鋭的で急進的な思想を背景に育った彼女に対してそれとなく距離を置きつつ、目の見える範囲に据えてその動向を常に注視することにしていた。キシリア派やギレン派の残党がいればハマーンに近づく・・アルテイシアに近からず遠からずの距離にハマーンを置くことを決めたのも、そうした意図からだった。
「ハマーン、聞こえないのか?姿を見せよ!」
ランバ・ラル准将の多少苛ついた声がスピーカーから流れていた。エグザベは助手席の窓から離れ、アルテイシアが眠る後部座席側に近寄る。インドア急襲用の小型炸薬を持っていないのが悔やまれた。武装リムジンのドアロックに効くかどうかは疑問であったが。
突然、上空から殺気が降り注ぐ矢のように襲いかかった。それを察知したと同時に、ルロイのリック・ドムが背中のランダムバインダーの噴射を最大にして空へ飛んだ。彼も殺気を感じたのだ。
ジオンの密閉コロニーの中央を貫く太陽ピラーの方角からグレーに塗られた重MSと3機のチャイカ、そしてルロイやエグザベが知らない異様な形のMSが飛来した。
「ザクⅢ、あれはプロトタイプのキュベレイか!?」
インカムから聞こえてきたシャリアの声で、それぞれが何者かを確認できたエグザベは、その場を離れて官邸の裏側に回る。官邸前に横たわる大破した警護用ザクの数から見て、稼働していないザクがまだ2機あるはずだった。待機場所は裏庭・・しかし、エグザベの目の前で、その待機しているはずの白い警護用ザクが2機とも動き始めた。横たわる兵士たちの遺体の横を走りながら近づくエグザベ。
「そこのMS!反乱者が来る!迎撃せよ!」
その声に反応してか、開いたコクピットハッチから人影が現れた。
「!!・・お前!」
顔を出したのはジュドーだった。
「やばい。見つかった!」
ジュドーはエグザベの顔を見て、思わずコクピットへと潜りハッチを閉めた。もう一機のザクを起動させていたカミーユもエグザベの姿を見て、素早くコクピットハッチを閉めた。
官邸上空では、ルロイのリックドムがバルカンとビームガンを撃ち始めていた。
「ジュドー、先に行く!」
そう言うとカミーユを乗せたザクは上昇していった。
一方、ランバ・ラルのグフも上昇し、ザクⅢとビームサーベル戦を開始していた。エグザベは、ジュドーのザクの足によじ登り、コクピットハッチ下の動力パイプに取りついた。インカムの周波数をザクに合わせる。
「ジュドー、聞こえるか?MSを渡せ!」
やや一拍置いて、ジュドーの声が聞こえた。
「・・ごめん、お兄さん!俺たちやっぱり乗るよ、あれに!」
「あれって、お前ら!まさか!」
そう言い終わる前にジュドーはザクを上昇させた。パイプにしがみつくエグザベ。地表がみるみるうちに離れていく。
「落ちるなよお兄さん、しっかり捕まってて!」
風圧にめげまいとしがみつくエグザベの視界の下に、官邸の敷地から飛び出すように走りだした武装リムジンが見えた。
そのリムジンの屋根にはいつの間に官邸の屋上から降りたのか、シャリア・ブルが取りついていた。そして、リムジンに覆い被さるように、先ほど見た異様な姿のMSが迫っていた。
「あれが、プロト・キュベレイ・・」
そう呟くエグザベの耳に、遠くからの爆発音が聞こえた。MSのではなく、もっと大きな重いものが砕かれた音だ。
「ブル大佐!オリベ中尉!こちらラシット!お待たせした!ソドンをコロニーに入れた!デザリア2機を先行して発進させる!」
ラシット艦長の声を聞いたエグザベは、即座に答える。
「艦長、エグザベです!ギャンを射出状態で待機させてください!そちらに向かいます!あとデザリアは隠れゲートに回してください!アルテイシア様を拉致したリムジンが隠れゲートに向かっています!!」
艦長からの了解を聞くが早いか、エグザベはジュドーに語りかけた。
「ブル大佐に代わって、僕が君たちの搭乗を許可する!あくまでも非常処置だ!その代わり僕をソドンに送ってくれ!」
「ソドン?・・連邦から奪ったっていう戦闘艦だっけか・・あ、あれか?」
ザクにも導入された360度モニターの右上に、小さな艦影が見てとれた。太陽ピラーを超えて、こちらに向かってくるところだった。
「お兄さん、じゃないエグザベさん?わかったよ。あの船のデッキに下ろせばいいんだよね?ただし、拘束はなしだよ。もし何かやろうとしたら、あんたのMSをぶっ壊すからね。」
一方、カミーユは官邸から離れ、幅100Mほどの商業用運河沿いをザクを飛ばせて、下町と呼ばれる住宅街へと向かっていた。その住宅街の先に、商業用船舶を修理する大型ドックがあった。途中、カミーユはザクのモニター越しにMSの戦闘の爪痕を見た。普段なら人の活気で溢れた街角に人型の機械が倒れ、ある場所では建物が崩れ、その建物に向かって埋もれたであろう家族を呼ぶ人、またある場所では血溜まりの中で形をとどめぬ姿で死んでいる人たち、逃げ惑う人々、燃える家々・・。今日の昼までは普通に生きていた人々の生活が、自分が乗っているMSたちによって一瞬のうちに壊されていく理不尽さ・・。
「こんなもの、いつまでも作っていたら平和なんて来ないでしょう、父さん、母さん・・。」
肉親を呪わずにはいられない惨状に、カミーユの心はただ泣くしかなかった。
やがて、虚しさを抱えたカミーユが乗るザクが住宅街を超えた時、彼の耳に聞き覚えがある声が聞こえた。
「カミーユ君?こちらコモリ・ハーコート中尉。待ってたわ。」
(つづく)

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