Artist's commentary
ホワイトファントム(ペガサス級強襲揚陸艦二番艦・後期改修型)
「Ring of GUNDAM」&「Gundam GQuuuuuuX」クロスオーバー・オリジナルストーリーに登場。
ペガサス級の一番艦はジオンに強奪されて「ソドン」となり、連邦に残った二番艦は戦後に装甲の強化、大気圏内飛行の安定化などの改修を施された。
一説には大戦中、連邦軍に所属していたアルテイシア(セイラ・マス)がMSパイロットとして一時期この艦にいたとう話があるが、連邦内では極秘扱いとされ真相は不明である。当のパイロットがジオンの姫だったという話が世間に漏れれば、連邦の体面は著しく低下すると恐れられていたのだった。それ故に、当時アルテイシアと共に乗艦していた兵士は全階級が査問の対象となり、その後は僻地への左遷もしくは軍の監視下に置かれた。また、運用当初は「ペガサス Jr.(ジュニア)」と呼ばれていたが、連邦軍は強奪された一番艦の「ペガサス」という名前を二番艦が継ぐのは縁起が悪いとして「ホワイトベース」と改名した。戦後は他の試作MSと共に南米に秘匿されていたが、ティターンズの台頭により軍備の再編が行われ、大幅な改修と共に再度名前が改められて、ティターンズ特務部隊母艦「ホワイトファントム」として生まれ変わった。(この辺りの経緯は、この艦にMSパイロットとして乗っていたというフリージャーナリストによる書籍が詳しかったが、発刊前にして全て連邦が没収し、ジャーナリストも行方不明〜亡命?〜となっている。)
※画像の仕上げにGrokにて照明効果を施しています。
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(「ザンジバル級機動巡洋艦」からのつづき)
ホワイトファントムの艦長はブラフマンからの命令に何の疑義も挟まず、速やかにメガ粒子砲と主砲の準備を火器管制官に命じた。
ホワイトファントムの左右にあるメガ粒子砲格納ハッチが開き、新型のメガ粒子砲が姿を現した。それと同時に艦の中央上部にある主砲ハッチが開き、主砲がせり上がる。
艦の乗組員はブラフマンと長年付き添った部下が大半を占め、彼の指揮で木星船団での窮地を何度も助けられた経験を持ち、絶対の信頼を置いていた。
「メガ粒子砲並び主砲、準備完了。いつでも発射できます。」
ブラフマンは、部下の手際の良さに満足しつつ、さらに指示を出す。
「よろしい。目標を追尾したまま発射コードをこちらに回せ。私が撃つ。」
そのやりとりを聞いていたマ・クベは冷ややかにワイツの機影を見つめた。
「ほう、本気のようだな。シロッコ中佐。」
「いかにも。スードリを撃墜後は我々は速やかにこの海域を離れる。了解されたし。」
「墜落したスードリの回収は我々が行う。ただし、その費用は連邦持ちだ。今回の戦闘での海洋汚染処理の費用についても後日請求させてもらう。」
ワイツに発射コードが送られてきたのを確認したブラフマンは、ホワイトファントムの射線を確認するためにワイツを上昇させた。
エイジィもイグニスガンダムを上昇させ、ワイツの動きを監視する。
「ガンダムのパイロット、相手の挙動を監視せよ。何かあれば撃墜して構わん。」
マ・クベの声には返事をせずに、エイジィはブラフマンの真意を探ろうとしていた。
今のワイツはイグニスガンダムに対して無防備ともとれるほど隙だらけだった。しかし、それが逆にエイジィの警戒心を高めていった。
「好きではないな、この気持ち悪い余裕・・。保身のために味方を撃つならこうも冷静にはならない。何を見ようとしている?ブラフマン・・」
その問いかけが届いたいたのか、ブラフマンはエイジィに答えるかのように一人呟いた。
「私が見ているのは、はるか先の未来だ。それも私が切り開く未来。だから、ここまでできる。」
ブラフマンの視線は、モニターに映ったスードリの機影を捉えていた。スードリはこちらの動きを察知して、急速に旋回して遠ざかろうとしているのが手に取るように分かった。
艦橋でパニックに陥っているジャマイカンらの姿が「見えた」。
「引き金を引くのは私だ。恨むなら私を恨め。しかし、君たちが考えていた以上の未来を作ってみせよう。」
そういうとブラフマンはタッチパネル上の赤いボタンに手を触れた。生体認証によって発射コードが認証され、ホワイトファントムのメガ粒子砲から眩いばかりの粒子ビームが、そして電磁レール式の主砲から実弾1発が発射された。
スードリの右側面をメガ粒子が溶かしながら突入し、その直後に主砲の砲弾が機首部分を粉砕した。スードリは爆発しながら海へと落ちていった。
「ふむ、これが連邦内の内紛とはいえ、その顛末を見るのは気持ちの良いものではないな。」
マ・クベは誰にいうこともなく一人呟いた。一年戦争時にはジオン内部にも派閥争いが何度も勃発していた。それを抑えていたのがデギン公王の威光でもあったが、ギレンとキシリアの権力争いは一見静かな規律という名の水面下で激烈に行われていた。そして3年前のザビ家滅亡・・。どちらについていても死あるのみだった。
(助け舟を出してくれたのは、姫様だったな・・)
「マ・クベ司令官、状況は終了した。我々はここで後退する。」
ブラフマンの冷静な声が聞こえてきた。
「了解した。東へ進路を取れ。ハワイ方面へと回ってもらおう。海域と領空から離れたのを確認するまでは監視対象であることを忘れぬように。」
「了解。」
ブラフマンは短く返答すると、機体をイグニスガンダムに向けた。
「今度は宇宙で会おう。」
ワイツは鮮やかな動きで空中で弧を描きホワイトファントムへと帰っていった。
「あいつ、演じているのか、それとも地でああなのか・・・。恐ろしい奴だ。」
「白いガンダムの中尉!アマテ・ユズリハ、ニャアンと共に無事です!」
マチュの甲高い声が耳を突いた。ジーメロウがSFS上でデザリアを支えながら接近してきた。
「無事だったか!?二人とも・・ダンたちは・・」
そこまで言って、エイジィの声は途切れた。今、やっと戦友たちの顛末が認識できたのだった。
「・・あいつのペースに呑まれて仲間を把握できなかったとは・・不覚だ・・」
エイジィの意識が暗くなっていくイメージをマチュは捉えた。ブラフマンの思念の渦に巻き込まれたのは自分たちだけではない。真正面から向かっていったエイジィもそうだったのだ。ブラフマンが去ってその呪縛が解け、戦友の死が今やっと分かったのだった。
「ごめなさい、私たちも頑張ったんだけど・・」
「いや、戦うってこういうことなんだよ。そう・・あいつらも全力を尽くした。手伝ってくれるか?ジロウとラルフの救援を急ごう。」
「そこのMSたち!仲間たちの救援は私たちが行う。このユエグアンに直ちに着艦せよ。」
マ・クベの声が威圧的にエイジィやマチュ、そして意識を回復したニャアンを促した。
「ん、何を急かしてんのかな?あの声・・怒ってる?」
マチュが反発心を半ば露わにし、接近するユエグアンを見つめた。
「自分たちが管理していた海を汚されたって怒っているのさ。」
エイジィは落ち着きを戻し、冷静な口調でモニター越しにジーメロウを見る。
「あ・・私のせいかな・・私がジークアクスを使えるっていう理由で狙われて・・そのせいでみんな死んじゃって、大好きな海も汚れて・・」
勝気だったマチュの意識が次第に撓んできたのをエイジィは感じていた。

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