Artist's commentary
あっかりーん
「私が求めているのは、理想の世界を構築し、醜悪さのなき完璧で、完全な人間じゃ」「完璧……完全、なるほど」「全ての要素を完全に携え、余りあるほどに満ち足りる。それが完全。それが理想じゃ」「……それが正しい、と。理想と完全は切り離せないと」「そうじゃ」「ですが、一概にそうは言えないのではないでしょうか。満ち足り溢れ出るほどに兼ね備えたとしても、それは理想……つまり個々人の掲げた完成品とは、完全に同調しません」「欠けているということ自体が理想を埋めると言うのか、お前は」「確かに私も、ある方に仕える前はそう思っていました。豊満さこそが正義だと。しかしその人と共に働いていく中で、それは違うと思ったのです。所詮は大衆の流れだと。それが正義に成り果てていることを」「……そいつは結局どうなったのじゃ」「……亡くなりました。しかし私は今も意志を引き継いでいます。ミロのヴィーナスのように、欠けていることが新たな段階の扉を開くのです。高校二年生としては足りていない身長、平均値に遠く及ばない胸囲。たしかに足りていないかもしれません。しかしそれが満たすのです。理想を。お嬢様の運転手として職務をこなしながら、私はその真理に気づきつつあります。欠点があることは悪いことでしょうか?不完全だから誰もが悩み、立ち止まらずに前に進めます。完成したら止まってしまう……不完全が理想なのです」「なるほど(空返事)」