Artist's commentary
【新作のお知らせ】
MF文庫Jさんから新作を出させてもらうことになりました。
タイトル
『姉妹傭兵』
イラストレーター
kappe先生(@kaaaaaappe)
『義妹生活』を刊行しているレーベルからの出版なのでシリーズが終了するのかと心配されてしまいそうですが、そうではありません。そのあたりの説明や本作での取り組みについてお話をさせていただきたく、すこし長くなりますがお付き合いください。
まず本作はシリーズ前提ではなく、【単巻完結モノ】です。ライトノベルはキャラクターと長く付き合っていきたい読者の想いとビジネス的な側面が噛み合って、続刊前提で展開されるシリーズが多いのですが、この『姉妹傭兵』は、1冊にすべてを込める一般の文庫・文芸寄りの構成となっています。
とはいえ内容まで完全に文芸にしているわけではなく、あくまでもキャラクター・エンターテインメントではあります。ただ、物語の構成のまとめ方が一般寄りというだけです。実写映画ではなくアニメ映画とでも言いますか、いや、正確にはそうくくれるわけではないのですが、雰囲気で伝わってください。
で、何故あえて【単巻完結モノ】を出すことにしたのか、なのですが……それにはいくつか理由があります。
①これ以上ライトノベルの「シリーズ」を増やすのはさすがに難しい。⇒これまで複数の作品を並行で続けてきたわけですが、やはりライトノベルは1冊にかかる時間がとんでもないので、MF文庫Jでは『義妹生活』を進行しながら他のシリーズもとなると、いくつか別件のシリーズに終了の目途が立たなければ始められません。(漫画原作と、漫画原作からの小説化ぐらいであれば全然増やしても行けるのですが)
②新しい作品をやらずにはいられない体質。⇒シリーズ増やせないなら大人しく既存シリーズだけ書いてろよと怒られそうですが、申し訳ないけれどそれを強制されたら私は筆を折ることになると思います。新作や新しい試みを発表すると必ず体調を心配されるのですが、むしろ新作の執筆に蓋をされたら、その方がストレスで体調を崩しかねません。『義妹生活』をはじめ現行のシリーズを書くのももちろん楽しいしやりがいもあるのですが、それと新作の取り組みはまた別の栄養素なので、実は新しいアイデアを常に考えて、実行していく方が、健康にも良かったりするのです。
③ライトノベル市場を冷静に見て、思うところがあって。⇒個人的に『顔さえよければいい教室』シリーズを完結まで導けなかった(打ち切りになってしまった)ことにすこし申し訳なさを感じていました。ほとんど誰にも読んでもらえなかったから打ち切り、であればまだ何も感じずに済むのですが、読んでくれる人が結構な数いて、楽しみにしてくれている声もそこそこ多く、だけどギリギリのラインで届かず打ち切り……という形だったのが申し訳なく。あれぐらいの手応えでも完結まで届かない事があるとなったら、シリーズ前提で気長な構成を組むのはちょっと違うのかなと。1冊限りで最高の読書体験を提供することを目指す方が誠実なんじゃないかな、と。最高のキャラクターと最高の物語を1冊に濃厚に込めて、それでもって、大勢の読者の皆さんにどうしても続きをと懇願されるような結果になって初めて同じキャラクターの別のまた濃厚な物語で1冊を用意するぐらいでちょうどいいのではないかと思ったわけです。
とまあ長くなりましたが、上記3点を理由に【単巻完結モノ】で挑戦させていただく事になった次第です。
ですので、『義妹生活』シリーズはまったく終わる予定がありませんので、その点ご心配なくでお願いいたします。
それに、『義妹生活』読者の方にも是非、この『姉妹傭兵』を読んでいただきたいと思っています。それには次で語る「内容」が関わってきまして。
『姉妹傭兵』はカバーイラストからわかるように、女性主人公で、戦場での日常を題材にした作品です。17歳にして実家を飛び出し、複数のバイトを掛け持ちして生計を立てていた主人公の伊澄凛子が、ちょっとしたきっかけで傭兵になり、先輩傭兵の水崎渚に導かれながら異国の紛争地帯に身を投じます。
『義妹生活』のような現代日本の日常を描くものでもないし、男女の恋愛模様を描く物語でもありません。けれど私としては、明確に『義妹生活』を書いている時と同じマインドで、同じようなことを大事にしながら描いている物語なのです。
本作で重視しているのは「人間関係」と「実在感のある、解像度の高い描写」です。『義妹生活』の時にも語りましたが、「実在感」であって「現実的」ではありません。この戦場は我々が現実に生きるこの世界の戦場とは異なるでしょう。でも彼女たちが暮らしている世界における現実の戦場を、読者の方に実在感を感じてもらえるように、解像度高く描いていく、ということを心がけました。
そして登場人物の「人間」の部分について。こちらは、『義妹生活』とは異なるアプローチで、『義妹生活』では描けないようなことを描いています。戦場だから描けることもあれば、現代日本で暮らしていて感じるような等身大の悩みや人間性をあえて戦場で描く、みたいなこともやっています。あまり書きすぎるとネタバレになるので詳しくは小説本文で確認してほしいです。
最後に物語構成について。1冊ですべて書き切るのだという思いでやりきったからこその、1冊読み切りならではのギミックといいますか、ちょっと面白い仕掛けにもチャレンジしています。そのあたりも実際に読んで確かめてみてくださいませ。
というわけで、熱い想いを込めた新作『姉妹傭兵』は2025年7月25日発売です。
ぜひ、ご予約ください。

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