Artist's commentary
地元の行きつけの飲み屋でたまたまバッタリ再会した人妻リランちゃん。
「あれ??ひさしぶりだねー!」 子供ころと変わらない屈託のない笑顔をむけて、いつものカウンター席の端に座った私に声をかけてくれたのは 昔よく一緒に遊んだ女の子、名前は“ミラミカルリラン”みんなからはリランちゃんと呼ばれていたその子であった。 ついさっきまで「ブランデーだの煙草だの」と、自分に酔った気取り屋を演じていたくせに。 目の前に大人びた旧友──昔ちょっと気になっていた女の子──が現れると、なぜか普段頼まない生ビールを注文していた。煙草を取り出す気にもならなかった。 。彼女もちょうど同じものを飲んでいたようだった。 キンキンに冷えた大ジョッキに並々注がれたビールは琥珀色をしていて、店の落ち着いた暖色系の照明に照らされてそれが一つの照明のようで綺麗だ。ちょうど彼女の髪色に似ていた。 目の前に置かれたビールジョッキを見て私は 「こういうジョッキにそそがれたビールいいよね、色が好きだな」 運ばれるやいなや味や喉越しではなく、ビールの色をほめた私の発言が可笑しかったのか、リランちゃんがカラカラと笑った。 むかしよくみた特徴的な彼女の八重歯がみえた。 沈黙が怖くてとっさにでた言葉であったが、彼女が笑ってくれたのはうれしかった。 「いま一人?せっかくなら一緒に飲もうよ」と彼女からの提案 まさか願ってもない展開にいまにも情けなく破顔しそうなのをこらえながら 「おーいいね!たまにはね」と あくまでも、“せっかくだから”というはしゃぎすぎない、必死過ぎない雰囲気をだせるように短く答えた。 カウンター席で並んで飲むのも良いが、店内の角にある二名用のテーブルが空いていたので二人してそこへ移動した。 いつも私が煙草を吸いながら腰かけている端っこのカウンター席がポツリと空席で真上のスポットライトに照らされていた。 同じ店内なのにこことあそことではまるで世界が違っているように見えた。ここは今とても華やかだ。

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