Artist's commentary
USS "Quincy" (CA-39)
1942年8月8日の深夜から9日未明にかけて行われた第一次ソロモン海戦で、日本艦隊に対し決死の反撃を試みる米国海軍ニューオーリンズ級重巡洋艦6番艦「クインシー」をダメな方向へ擬人化したものです。巡洋艦にしてはちょいとムチムチにし過ぎたカナ?と云う気もしないではないですが、まあ米国条約型重巡の中では装甲がトップクラスの姉妹ですから・・・。(^-^;; 海戦自体はググって貰えれば色々なサイトで紹介されていますのでそちらを見て頂く方向でヨロ。この海戦では奇襲を喰らった米海軍側は殆ど一方的に攻撃を受けるだけで、クインシーさんの砲撃がほぼ唯一の有効な反撃でした。この時の砲弾は日本側旗艦鳥海さんの艦橋後部に当たり(盲弾)、あと数メートルずれるか炸裂していれば艦隊首脳部があわや全滅する所だったとか。当時海軍報道班員として乗艦していた小説家の丹羽文雄氏は丁度その場に居合わせ、弾片で負傷されています。制服兵器兵站局公開版から背景に用いた以下資料画像を抹消し一部トリミング。手持ちのネタ的参考資料:「朝日新聞」(昭和17年8月25日)、「海戦」(中央公論社・昭和17年12月25日初版、昭和18年2月25日再版)。個人的には「少国民版 ソロモン海戦」(室戸書房・昭和18年4月20日初版)の方が松添健画伯による挿絵付きですので見ていて楽しいです。最近では中公文庫から伏字復元版の「海戦」が出ておりますので未読の方には是非一読をオススメ。 P.S.この時クインシーが損傷して汽笛を鳴らしながら突っ込んできたものだと思っておりましたが、今回調べ直したらそういう記述が見つかりませんでした。若しかするとスラバヤ沖海戦とか他の海戦でのエピソードだったかも知れません。この辺の話をご存知の方が居られましたら、何と云う本に載っていたネタかお知らせ頂けると幸いです。 追記)件の汽笛のエピソードは「軍艦武蔵(上)」(新潮文庫)の第十章第一次ソロモン海戦(ヴィンセンス)&第十一章サボ島沖海戦(青葉)に載っていました。 追記2)私のネタは判り辛いと云うツッコミが知人からしばしば有るので、もうちょっと参考となりそうな本の紹介など。朝日ソノラマ「サボ島沖海戦」(R・F・ニューカム)、光人社「掴めなかった勝機」(デニス・ウォーナー)。どちらも米国側からの視点で書かれて居ますので、このイラストのネタを楽しむには最適かと思います。