Artist's commentary
ヲ級わかってきた(研究番号ヲ-51301)
実験開始から2ヶ月が経った。
他クラスの深海棲艦も調査対象にするきっかけとなった、僕とヲ級の身に起きた現象と関係性の変化は、研究所内ではちょっとした美談として拡散した。今週から始まっている「24時間、衣食住すべての生活を共同空間で行う」という新体制が告知された時も、面識のない研究員にまで祝福と応援の言葉を投げかけられる始末だった。
さて、共同空間といっても、僕の研究室にヲ級を移したというだけであり、任意では外出できないよう入口に新たな施錠が増えた以外、僕にとっては普段通りの生活があるだけだ。もちろん、ヲ級にとっては初めて触れるものばかりで、初日はとにかくせわしなく動きまわっては、お約束のようにコップを割ってみたりした。翌日には落ち着きを見せ始め、本や書類といったものにも興味を示すようになったが、この調査ではヲ級の自発的な反応を分析することが目的なので、僕から何かを勧めることはしない。あくまでもヲ級からの投げかけが先にあり、それに応えるという関係。それ以外は自分の机で通常業務を進め(観察もしない。それはモニタリング担当者の仕事だ)、運ばれてくる食事を二人で食べ、夜は一緒に寝るという生活を繰り返す。
これらの様子は、部屋の各所に設置されたカメラ経由でモニタリングされている。モニタリングされていることはヲ級には伝えていないし気づくようなものでもない。だから、ヲ級が僕に投げかけてくる行為には、見られたら恥ずかしいといった躊躇がない。躊躇なしに恋愛感情がすべて直球で出力されてくる。要するに、ヲ級が発情すれば昼夜を問わず性行為が始まってしまうというわけだ。実験開始初期のモニタリング環境で僕もすっかりカメラには慣れてしまったから、掛け布団にくるまってしずしずと…なんて遠慮はしない(し、それでは観察できない)。むしろ制約さえなければ、僕の方から一日中抱きしめてしまいたいぐらいだから、始まってしまえば全力で快楽を貪り愛しあう。ヲ級の方はさすがにそこまで一日中頭が沸騰しているわけではないみたいだが、しかし発情した時の身のすり寄せ方は僕よりよほど情熱的だ。
そんな数日が過ぎ、今日は朝早くからヲ級に積極的な起こされ方をされているところだ。一応寝間着に着替えて寝たはずだけど、下半身は脱がされてヲ級の腰の下に埋まっている。股間のモノも一体どこへ隠れてしまったか…などとはぐらかすまでもなく、ヲ級の熱く締め付ける胎内に埋没している。まったくこんな目覚めなら毎日してほしいものだ。
ところでここ数日、手洗いなどで部屋の外へ出ると、そこここですれ違う職員の一部から妬むような目(あるいは涙目)で睨まれることがある。彼らが特殊実験の被験者でないことはわかったが、しかし僕らの実験とてあくまで仕事としてやっているのであり遊んでいるわけではない。被験者候補として積極的に働きかけなかった己に原因があるのだから、こちらを妬まれてもお門違いである。研究を円滑に進めるためにも、その視線には気づかないことにしておこうと思う。 -多石研究員の手記より-
◆胸の露出解釈は他路様のヲ級たんを参考にさせて頂きました。エロカワユス!>http://p.tl/i/37830060
続き:pixiv #38492040 »