Artist's commentary
ロージー
戦後、歌手として世界各地を回る日々を送るロージー。数少ない楽しみは、昔の戦友に会う事。特に、ダルクス人のザカには、特別な思い入れがあり、会う度に二人きりの夜を過ごしてしまう。「憎さ余って…って奴かな……。誰とでも寝ちまうんだ、アタシ」どうも、世界中を旅する孤独からか、行く先々で男と関係を持ってしまうようだ。しかも、相手はダルクス人ばかり。「責任感じてんのかな、せめてもの……お詫びって言うか、お礼って言うか」その行動に、イサラが関係していないはずが無い。「あの子と同じダルクス人だってだけで、愛しく思えちまうんだ。どうかしてるよな……アタシ」自分はただの淫乱なのかもしれない、と言うロージー。それまでの彼女の人生は歌ばかりで、恋愛なんかした事も無いと言う。「嫌じゃないんだよ。…どうせなら、世界中のダルクス人の男と寝てやりたいくらいさ。それ位しか…」そう言って、ザカの上に身体を寄せ、ゆっくりと唇を重ねる。あの美しい歌を紡ぎ出す唇は、柔らかく艶やかだった。キスを終え、その目を見詰めながら言う。「アンタとは、何か違うんだ…、他の男とする時とは」世界中を旅する身である以上、会える機会は、年に一度が限度。それをこの上なく楽しみにしている自分が居る。他の男と寝るのは、その寂しさをまぎらわすためと言ってもいい。「多分…アタイ、あんたの事…」やはり、共に死線を掻い潜った仲である。二人は年齢的にも近く、特別な思いが芽生えるのは自然な事だった。「なあ、今日は中で出していいぜ…。アンタなら……」ダルクス人との子を身籠るなど、以前の自分ならば考えられない事だった。「あ……、ザカ……っ」世界的なスターである立場も忘れて、ロージーは一人の女として、ダルクス人の男に抱かれながら、その悩ましい歌声を披露した。