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Artist's commentary
梅雨の卵
生物の授業が好きだった。
教科書にあったカエルの発生の写真はとても神秘的だった。
葡萄のような黒い受精卵が透明な膜の中で分裂を繰り返す。細胞数を増やし、その一つ一つに役割が与えられる。順序良く丁寧に生き物の形へと変わっていく。なんとも不思議で美しい過程だった。
生まれたばかりのたった数ミリの卵の中に生物としての全てが詰め込まれていて、それを展開させている。
物言わぬ細胞の凄みを感じて少しぞくっとしたのを覚えている。