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Artist's commentary
万骨を狩らす
「新人が捕まっちまったぞ!」
「新人にブーツを貸してるんだ、回収しないと…」
「なら助けるぞ!全員で骨野郎の膝を狙え!!」
―――班長の号令より
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吹雪の中で負傷した新人に肩を貸しながら班長は毒づいた。
「なにが“居るとしたら鹿くらいなもの”だ。情報はいつも当てにならんな」
中堅班員達が答える。
「まったくです。とはいえ遭遇したのが我々で良かった。他の班ではどうなっていたか…」
「全員生還とは行かないな。下手すりゃ全滅だ」
そこに新人が消え入るような声で会話に割り込んできた。
「すいません…俺がヘマしなきゃ…」
班長が新人の謝罪を鋭く遮る。
「謝る必要は無い。班に起きた問題の責任は全て私にある」
「…まぁ、無事で良かったよ。お前も、ブーツも」
(中堅班員の笑い声)
それから詰所に到着するまでの20分間、談笑と不断の警戒が続いた。
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