Artist's commentary
心霊スポットのトンネルに入ってしまった榛名
適当設定の前後話
隣町鎮守府からの帰路、夕暮れ時。
すっかり暗くなってしまった為、榛名は道を急いでいた。隣町鎮守府から帰るルートに近道となる運河トンネルがある。しかしその運河トンネルは心霊スポットとしての噂があった。
昼間なら小さくだが出口が見えるほどの決して長くはないトンネルではあったが、あたりが暗くなると照明がないこの運河トンネルは暗闇を進むのと変わらない。心霊スポットとは言われるが実際に何かがあったわけではない。そういった雰囲気から駆逐たちからそう呼ばれている。そしてこういった洞窟にはありがちな設定があった。「決して後ろを振り向いてはいけない。」
噂に過ぎないが榛名には激しく心を動かす話題だった。
しかし通常のルートでは半島を大きく迂回することになるため帰投時刻が遅くなってしまう。意を決しそのトンネル運河を通行することにした。
・・・半分を過ぎたあたりで出口も大きく見えるようになり一安心したところで背後から気配を感じた気がした。
何かの息遣いを感じる。男性の・・・呼吸?まさか・・・艦娘専用の水路なのに男性が水の音もたてずに?
「・・・まって」「・・・こっちみて」
はっきりと声まで聞こえ出した。これはやはり幽霊なのだろうか。
榛名は速力を上げた。しかし声は追い迫ってくるようだった。
振り向いてはいけない。そのセリフを思い出すと榛名は首を動かせないように力を入れていた。
ずっと前だけ見て、もうすぐ出口というところで「ヌぅ」っと出てくる気配があった。
首に力を入れて動かせない。目線だけで探ってみると 「手だ」 「手があった」。
追いつかれた。
振り切ろうと速力を上げるが全く振り切れる気配がない。
自身の後頭部に息遣いを感じる。
「榛名は大丈夫・・・」「榛名は大丈夫・・・」
そう言い聞かせてはいたものの、その手はあと数センチで あと数秒のあいだに榛名の乳房に触れてしまいそう・・・
(ひっ)
そう思った瞬間 榛名の足が跳ね上がった!
「やっぱり大丈夫じゃありませーーーーーん!!」
ドゥンク!!
何かが右足にヒットした感触があった。
榛名は慌ててトンネルを抜けた・・・!
男の声「痛たたぁ・・・」
榛名「え?」
洞窟の前にいる男の声「ちょっと君 いきなり蹴りを入れるのはどういうことだい!?」
そこにいたのはオジサンだった。
榛名「もしかして追いかけていたのはオジサンですか?」
オジサン「まったく 君ここロハで通行しようとしたでしょ!困るんだよね無賃通行は!」
ほら、ここにお金入れるんだよね。
指さされたところには「1通行100円」の書き込みがなされた箱があった。
オジサン「反対側にもね、ちゃんとあるんだよ?」
暗くて見落としたのか・・・この運河は有料だったのだ。
オジサン「全く・・・運河だって整備にお金かかるんだよ?たまに無断で通ってく娘がいるから見張ってたんだよ」
榛名「す すみません榛名は・・・」
オジサン「良いよ良いよ とにかく通行料100円を入れて呉れ」
榛名はがま口を取り出し 出口側の料金箱に100円札を入金する。
榛名「それにしてもオジサン速いですね 私これでも高速せ・・・」
振り返るとそこにオジサンの姿はなかった。それどころか気配さえも。
榛名は思い出す、
高速戦艦の速度についてきた
水をける音さえ聞こえなかった
そもそも入り口から見ていたならその時に気づかなかっただろうか・・・
榛名「・・・・!」
それらの理由を榛名の中でどう解釈したのか・・・
腰が抜けしばらく着底してしまった。 その際に失禁してしまったが運河内に流れる水に薄められていった。
「ごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごく」