Artist's commentary
パーフェクトメイド
パーフェクトな彼女はポーズにおいても完璧である。挨拶の角度、腰掛ける姿勢、笑顔の傾き、あらゆる日常の動作が緻密に計算されており、彼女の美学を自身の体で表現している。それは非日常においても同様で、戦闘における彼女の身のこなしは蝶のように優雅で美しい。しかしそれは、日々続けられる寡黙な鍛錬があってこそのものなのだ。パーフェクトな彼女は無論、それを見られることを嫌うだろう。だが、そうであるからこそ見てみたくなるというもの。彼女を完璧足らしめる秘密を、彼女の人に見せない真の姿をこの目で見たい。その欲望に駆られ、私は夜明けの紅魔館に潜入した。誰もいない静かな廊下、朝の光で満ちる窓の下に人影を見つける。気が付けば私はシャッターを切っていた。「パーフェクトメイド」。その名を冠する技を完璧に構える彼女の姿に、私は心の時間を奪われていたのだ。