「…渡せなかったな」いや、今からでも遅くない。でももう帰ってしまったかも。一人ではなく、他の誰かと――
行ったり来たり忙しい私の気持ちなど露知らず、風に揺られ春の日差しと戯れる薄紅の花。ここで諦めたら、この先ずっと後悔と共に桜を見上げる事になる。
一歩、私は花びらを振り払った。
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