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Artist's commentary
霊樹
一見して美しさを保った身体だが、腹部は朽ちて大きく口を開けている。
臓腑の様子を見ればこの娘が既に助からない事が理解できる。
いや、死んでいるはずだ。
娘の意識は既に無く、ただただ肉体だけが樹に生かされているだけだ。
そうでなければ、困る。
この鼓動する「実」を収穫する者として、
死んでいてくれないと困る。
ここまで辿りつく為に多くの犠牲を払ってきたのだ。
揺らぐ訳にはいかないのだ。
不安を拭えぬまま一歩踏み出した瞬間、凍り付く。
娘の目が微かに動いた気がしたのだ。