Artist's commentary
囁き
あの時のことを覚えているかい?
君が面白半分でおじさんを痴漢に仕立て上げたあの出来事を。
おじさんあれから結構大変だったんだよ。
会社はクビになるし妻や娘は出て行くし両親や親戚からは縁を切られるし、
友人知人はこぞって連絡が取れなくなるし近所の人は目も合わせてくれないし…。
おじさんを知る全ての人がね、最初からおじさんが居なかったかのように振る舞うんだ。
平凡なサラリーマンが今や透明人間さ。
笑っちゃうだろう?
おじさん生きる希望を無くしてしまってね。
気が付くと踏み台に登って首に縄をかけようとしていたよ。
だけとね、そこで思いとどまったんだ。
そう言えば君はどうしているんだろうって。
思えばあれが復讐心というやつなんだろうね。
おじさんは見ての通り気の弱い人間だから本気で人を憎むって感情がすぐには理解出来なかったんだ。
それからじっくり時間をかけて君のことを調べたよ。
おじさんマーケティング部門に居たからちょっとだけそういうの得意なんだ。
通っている学校や予備校、よく利用するコンビニやファミレス、アクセサリーショップやネイルサロン。
素行や風評、経歴、人間関係、趣味趣向等。
一日も欠かさず君を見ていた。
いつか君を酷い目に合わせてやろうと寝ても覚めても君の事を考えていた。
頭のなかで何度も何度も君を罵り傷つけたよ。
でもね、そうやっているうちに考えが変わってきたんだ。
ひょっとしておじさんは君に感謝しているんじゃないかって。
おかしな話だろう?
おじさんが独りぼっちになってしまった原因は君なのに、
今では君がおじさんにとって唯一の希望になっているんだ。
だからね、これはきっと恋なんだよ。
過去の経緯を考慮せずに現在の状況だけを考えればそうとしか考えられないんだ。
女の子の事を四六時中考えているわけだからね。
そこでおじさん良い事を思いついたんだ。
君を奥さんにして子供を作ってもらえば以前のような平凡な幸せを手に入れられるんじゃないかって。
やっぱり正解だったね。
ああ、気持ちいい。
君と一緒になれて幸せだよ。
入念に下半身をマッサージしたからあまり痛くなかっただろう?
おじさんに任せておけば大丈夫。
もっともっと愛してあげるから。
ほら、おじさんまだまだ現役だろう?
正直自分でも持て余している程さ。
きっと君のことが好き好きでしょうがないんだろうね。
こんなに固く大きくなるなんて何年ぶりだろうね。
奥まで届いているのが分かるかい?
あ、もう限界みたいだね。
じゃあ今からここに愛の証を刻むからね。
ずっと溜まってたからきっと君が満足するくらいたっぷり出るよ。
ああっ、気持ち良いよ凄く良い!
あ………出るよ…出る出るっ!!