Artist's commentary
忍跳び箱
忍跳び箱。明治時代から昭和初期にかけて活躍した甲賀望月流の上忍、
杉谷喜三郎によって考案された忍術修行の為の跳び箱をいう。
忍の道を志す青少年の後継者たちを育むことを目的としたもので、
健全な修練器具として現在もその姿を残している。
通常学校教育で使われているものとは異なり、長方形の短い部分、
手を着く幅が極端に短くなっており、
重心を支えて飛ぶには、高いバランス感覚が必要となってくる。
縦幅も長く、修練の低いものが完全に飛ぶことは難しい。
一度でも失敗すると、その衝撃は下半身に強く響くように設計されている。
これは一回一回の修練に危機感を持たせることが目的であって、
決して邪な思いがあることではないと、喜三郎は書き残している。