Resized to 70% of original (view original)
Artist's commentary
地に落つ魔鳥
戦乱の最中、誰が射ったともわからない一閃の矢が彼を捕らえた。
それは一級の弓兵が放ったものでも特別な力が篭ったものでもなく、ごくごく平凡な矢であった。
普段の彼であれば、難なく跳ね除けることができただろう。
しかしすでにその体にも、背負う雄雄しき黒翼にも、それだけの力は残されていなかった。
冷えていく体は重く、風を切って落ちてゆく。飛べることが仇となったか…この高さから落ちれば助からないだろう。
静かに瞼を閉じる間際、彼の目に映ったのは片翼を携えた愛しい人の顔だった。
-ああ、私とて知らないわけではありません。彼女は…。
それでも欲を言うのなら、最期にこの名を呼んでほしかった-
これが黒翼の魔導師が紡いだ第一幕の事の顛末でございます。
故郷に錦を飾るべく出陣いたしたカラドアで、恋人の幻影に看取られあえなくお陀仏!
奮闘むなしく名前すら残らぬ傭兵達…戦争というものはまことに愚かなものでございますな。
…やあやあ、申し遅れました。僕は影法師のライラ。
千の夜の物語を紡ぐべく、この不可思議な世界を影人形と共に巡るしがない語り部でございます。
またどこかで会うこともあるでしょうが、その時はどうぞ僕らの語りに耳を傾けて頂きたい。
彼らがここで何を見て、何を成し、誰と物語を紡ぐのか。僕はただ、それを知りたいのでございます。
設定お借りしました【灯火の運命を賭す者】pixiv #49854598 »
名も無き傭兵(pixiv #49674926 »)視点のその後pixiv #50167431 »