Artist's commentary
【夏の終わりと】夏服のレティさんと乾杯、氷室にて【冬のかけら】
レティがこの氷室に来るようになったのはいつからだったろう…。
夏の終わり、氷室に残ったわずかばかりの氷を使って彼女とグラスを傾けるのがここ数年の決まりごとになっていた。
乾杯し、グラスをあおると、口の中に酒の香りと冬の香りが広がる。
やがて酒精に浮かされ、お互い少しばかり饒舌になっていく。
レティ:「貴方にはほんとうに感謝しているわ、夏を憂鬱に過ごすことがなくなったもの」
それはお互い様だ、彼女のおかげか氷の評判もよくなり、何よりこの仕事が楽しくなっているのだから。
取り留めのない歓談の後、彼女が大きく息をつく。
それが白く染まり、冷えた空気の中をゆっくりと流れていった。
レティ:「驚いた… 私の息が白くなるなんてことがあるのね…」
僅かに目を丸くした後、嫣然と微笑む。
それは、冬の妖怪たる彼女には本来ありえない事だった。
レティ:「お酒で火照っている所為かしらね? それとも…」
しばし、潤んだ瞳と僅かに上気した肌に目を奪われる。 そして… 彼女はこちらを見つめたまま、意を決したように口を開いた。
レティ:「ねえ、冬には貴方の許にお邪魔してもいいかしら…?」
私は―――
◆夏の終わりに夏服のレティさんが描いてみたかった! 彼女は平気だろうけど、見てるこっちは寒いよ! ってことでマフラー装備(w)ちなみに、「氷や冬に属する者は息が白くならない」というのは小学生時代に読んだとある少女マンガが元ネタで(タイトル忘れたw)、自分の中では既に定説となっています。 ◇2枚目:紅潮差分、3~4枚目:色補正なしver. ◇9/15追記:ブクマコメありがとうございます!